学士
A Personal Space for Solitude
空間デザインスタジオ
#空間デザイン#コンセプチュアルデザイン#オプティカルアート
日常生活の中で適度に孤独な時間を過ごすと、心理的安定やストレスの解消といった効果が得られ、生産性・創造性が高まることが知られている。さらに、自然に囲まれた環境ではこの孤独な時間のリラックス作用が向上することが学術的に示唆されている。
本研究は自然界の風景を抽象化したインスタレーション的インテリアを制作することで、この自然の中で孤独な時間を過ごす体験を自然物のない屋内でも簡易的に再現することを目指したものである。
まず要求を分析し、自然らしさと孤独感の両立の方法について考察した。
第一に自然らしさについて、木々と木漏れ日、海の水面、草原といった自然界の風景を観察し、多層性と流動的でランダムな変化が視覚的特徴であると捉えた。
第二に孤独感の提供については、ユーザーの周囲の視覚情報を、閉塞感を与えない程度に遮断する構造が求められると考えた。
加えて、人工物としての雰囲気を抑えることを図り、簡便な方法・仕組みによってこれらを実現することも要求の一つとした。
簡単な仕組みで生じる視覚効果をリサーチしていたところ、モアレ現象に行き当たった。規則的な模様が重なることで視覚に生じる縞模様のことであり、その多層感と変化が途切れず連続する点に活用の可能性を見出した。
基本的な図形同士の重なりでは単調な印象の効果になりやすいモアレに自然界のランダムさを加えるため、布によるモアレ現象を利用した。チュールという柔軟で目の荒い布を積層しそれぞれを独立して動かすことで、効果にランダムさを与えられると考えた。
最終制作物は短冊状にカットしたチュールを揺れやすい形で多数吊り下げた小空間である。中に座るなどしてリラックスする、瞑想するといった形で使用する。
自然の広大さを感じさせるためには視覚的な遠近感を生む必要があると考え、チュールは段階的に長さが変化するよう調整し、ドーム状の空間を象っている。
またチュールを吊り下げている基部の塩化ビニル板は弓形構造とした。このカーブによって左右端でもチュール同士の隙間が生まれにくく、空間外の視覚情報の遮断力を高めている。
最終制作物は、コンセプト通りのインテリアプロダクトとしての完成品ではなく、あくまでも必要要件を簡易的に具現化したプロトタイプである。制作を通して、省スペース化、軽量化、外見の洗練などの必要といった課題を見出すことができた。
Map
この作品は Gallery A : A23にてご覧いただけます。
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