学士
水と共に生きる家
ソシオリビングデザインスタジオ
#空間デザイン#インテリアデザイン#ランドスケープデザイン
近年、私たちは常に災害への備えを意識せざるを得ない状況にある。しかし、既存の災害用住宅や備蓄の議論は、その多くが「機能性」や「効率」に偏っていると私は感じた。地下に隠された貯水タンクや、生活空間を圧迫する備蓄品。それらは安心を与えてくれる一方で、私たちの日常の景色を豊かにするものではない。
本研究では、こうした備蓄のあり方を根本から再構築した。目指したのは、日常を彩る「水の美しさ」が、そのまま非常時の「生命の支え」となる、新しい住宅の形である。
この住宅の最大の特徴は、建物を貫くように配置された巨大な「水盤」だ。水盤は単なる庭の一部ではなく、住宅の内部へと深く入り込むように設計した。
1階の寝室では、床面とほぼ同じ高さに水面が広がり、境界を感じさせない大きな「FIX窓」を通して、室内外がシームレスに繋がる。風による水面の揺らぎや、天井に描かれる柔らかな反射光は、住人に癒やしと安らぎをもたらす。ここでは、水は単なる貯蓄ではなく、空間を構成する要素として存在している。
また、この水盤は、災害時には巨大な「貯水」として機能する。東京都日野市の年間降水量に基づいた試算の結果、この敷地で得られる雨水だけで、断水時でも家族4人が長期間にわたり生命を維持できる水を確保することが可能であると考えた。そこで、水盤に集められた雨水は、建物内に組み込まれた高度な「浄化システム」を経て、災害時には生活用水や安全な飲料水へと姿を変える。
日常的にも美しい水の意匠性を感じ、いざという時には貯蓄があるというこの住宅は、ボーダーフリーな新しいレジリエンスの形を提案している。
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この作品は Gallery A : A03にてご覧いただけます。
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