学士
不整地における散布型表層ユニットのデザイン提案
トランスポーテーションデザインスタジオ
#プロダクトデザイン#モビリティデザイン#スペキュラティブデザイン
砂漠や泥濘、災害現場、あるいは月や惑星。これら未知の「不整地」は、モビリティにとってスタックや故障を引き起こす最大の障壁となる。しかし、これに対する既存のアプローチには二つの大きな限界が存在する。一つは環境側へのアプローチだ。重機による整地や舗装は、コストや施工時間、搬入の難易度から、極限環境下や緊急時において適用することは現実的ではない。もう一つは移動主体側へのアプローチ。大小様々な車両から人間に至るまで、全ての対象に個別の不整地対策を施すことは、開発リソースとコストの観点から非効率と言わざるを得ない。
そこで本研究では、環境そのものを物理的に作り変えるのでもなく、移動体を個別に最適化するのでもない、第三のアプローチを提案する。それは、環境と移動体の間に共通のインターフェースとなる「人工表層」を一枚介在させることで、両者の課題を同時に解決するという発想の転換だ。「建設」ではなく、植物が種子を撒いて領域を広げるような「散布」によって、即席のインフラを形成するシステムである。
本構想を具現化するプロダクトとして、散布型表層ユニット『MAQ』を制作した。最大の特徴は、輸送・散布時の「球体」から、定着・被覆時の「平面」へと変化する形状可変機能だ。素材には形状記憶ポリマー(SMP)を採用し、地熱などの環境エネルギーをトリガーとして、動力を持たずに自律的に展開する機構を目指している。複雑な電子制御を排し、素材特性を利用することで、過酷な環境下での信頼性を担保した。
展開したユニットは、細かい砂や荒れた地面を物理的に被覆し、タイヤの沈下やスタックを防ぐことで交通の利便性を向上させる。本提案は、恒久的な道路建設までの空白期間を埋める「開発初期のアクセラレータ」として機能し、不整地における移動の自由度を飛躍的に拡張する新たな選択肢となることを目指している。
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