修士
養蚕農家での実践を通じた平面吐糸の感性的価値の探究
トランスポーテーションデザインスタジオ
#プロダクトデザイン#スペキュラティブデザイン#リサーチスルーデザイン
Silk Bio-craftは、蚕の習性の一つである平面吐糸に着目し、特殊な装置を用いて蚕の動きを誘導、意図的に平面吐糸させることで作品を作り上げることを可能とした新たな製品製造の手法である。本手法は、秩父養蚕農家での2 年のフィールドワークと実践を通じて工藝的手法として昇華された。
◯装置で蚕を分散、面上に糸を吐かせ作り上げる
本製法では、装置に蚕を配置し表面に糸を吐かせることで作り上げる。この装置は、蚕の負の登上性( 重力と逆方向に進む習性)を応用し、蚕が上に集まり、装置のバランスが変化、自然と装置が回転し、最上点が変わることで、蚕の一を分散させる機能を持つ。これによって、面に対して糸を均一に付着させる仕組みになっている。
◯「平面吐糸」独自の質感が魅力に
本手法によって生み出される製品の特徴は、『平面吐糸』という蚕の習性にある。これは、蚕の吐糸行動の一つで、蚕を上蔟時(糸を吐く準備ができる時)に平面上に置くことで、球体を形成する通常の糸の吐き方とは異なり「面に沿って糸を吐く」というものである。
蚕は平面吐糸の際、頭部を『八の字』に動かしながら吐糸を行う。この運動が平面にそのまま定着することで、光を微細に反射する面として生まれる。これによって、蚕の自律的な運動に由来する「生命の気配」や、「時間の積層」といった蚕の生命活動(意味)が、時間とともに作品の質感、光学的な現象として物質表面へ定着するのだ。
◯バイオ・クラフト人と自然の新たな関係性
本手法では、「蚕」は「人とともに、美に向けて制作を行う」 ”共同制作者”となる。これは、「絹糸を採るため繭を作らせ、蚕を茹でる」従来の養蚕/シルク産業が持つ人-蚕の関係性と異なるものだ。自然の力に委ねることで、人間の想像を超えた美を結晶化する。 シルク・バイオ・クラフトは、「人」と「自然」が対等に向き合う、次世代のヒントを示す新たなものづくりのかたちである。
Silk Bio-craft is an innovative manufacturing method that utilizes "flat spinning," a natural behavior where silkworms spin silk onto flat surfaces rather than forming cocoons. Developed through extensive fieldwork in Chichibu, this technique employs a specialized rotating device that harnesses the silkworms' instinct to climb upward, ensuring an even distribution of silk.
The resulting texture, created by the silkworms' rhythmic figure-eight movements, captures the "essence of life" and "accumulation of time" through its unique optical properties. Unlike traditional sericulture, which boils cocoons for silk, this method treats silkworms as "co-creators." It represents a new paradigm of craftsmanship where human intent and natural autonomy meet as equals, offering a blueprint for the future relationship between humanity and nature.
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この作品は Gallery B : B10にてご覧いただけます。
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